研究課題/領域番号 |
61460024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 久遠 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (30021934)
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研究分担者 |
山中 明生 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (30182570)
浅香 修治 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (00167876)
進藤 善雄 北海道大学, 応用電気研究所, 講師 (10001702)
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キーワード | レーザー分光 / 高分子固体 / 二光子吸収 / 非線形光学 / 励起子 / 新機能材料 |
研究概要 |
1.世界最高水準の高感度パンプ・プローブ法(二光子吸収法もこの1種である)の開発に成功した。即ち、自作した、安定なCWモード同期Nd-YAGレーザー、同期励起色素レーザーを使用することにより二光子吸収の代わりに四光波混合法を用いて感度向上に努力し、10^<-6>以下のプローブ光の変化量を観測できている。 2.上記の実験に立脚し、提案した高感度二光子吸収分光法の開発にほぼ成功した。目標の10^<-6>の微弱吸収量の測定が可能である。大きな成果である。CdS、ZnS単結晶を標準試料として詳しく調べ新しい知見を得ているが、ポリジアセチレン結晶の測定に関しては結晶純度及び使用波長の広領域化の問題が生じており、現在進行中である。 3.ポリジアセチレン結晶作成は、引き続き高純度結晶作成の努力をしている。しかしながら、現在の純度では未だ二光子吸収実験に予定したレーザーパワー強度が照射できず(変質する)、一層の高純度化が必要なことがわかり最大の問題となっている。解決に努力している。 4.二光子励起ラマン(ハイパーラマン)信号の観測に世界で初めて成功した(PTS結晶)。一光子吸収禁制であるAg励起子状態に、入射した二光子のエネルギーが強く共鳴する事実を明らかにした。更に、これまで未知であった赤外活性なポリジアセチレン結晶の骨組の格子振動に関する重要知見を初めて得ることが出来た。 5.今後の見通しについて、上記の様に、新しい原理に基づく二光子吸収分光法の開発には成功したので、予定のレーザー光強度照射に耐えられるポリジアセチレン結晶の一層の高純度化に努力する。これと、現在進行中の二光子励起ラマンの共鳴効果の結果の詳しい解析、二光励起発行を利用する方法の併用で電子状態の解明を行える見通しである。
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