研究概要 |
金属中のポテンシャルの乱れが大きくなることによって電子の波動関数が局存し絶縁体に転移する, いわゆるアンダーソン転移の実験的研究は古くから行われてきたが, 1979年に発表されたスケーリング理論以来, 全く新しい視点にたつ研究が, 主として局存が弱い領域で活発に行われ, ほとんど完全な理論が得られるに至っている. 本研究は, 実験の対象をより局存が強い領域に移し, 絶縁体への転移の前後を詳細に調べようとするものである. 本年度は不純物半導体の磁性を重点的に研究した. 1K以下20mKまでの, Si:PのついてのESR・NMRによる測定によれば, スピン帯磁率は転移点近傍で(a+b+ュCP 一方, SQUIDによって測定した全帯磁率も, ESRの結果に似た低温での増大を示したが, 増大の程度はESRの場合よりも小さい. この相違の原因としては, 磁場の大きさの違い, スピン帯磁率以外の寄与の補正・表面状態の寄与などが考えられるが未だ明白ではない. より詳しい実験が必要である. 62年8月に, 本研究グループも計画・実行の中心的メンバーの一部となって開催した「東京大学国際シンポジウム・アンダーソン局在」では金属・非金属転移が中心的主題としてとりあげ, 本研究の成果もすべてここに発表した
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