研究概要 |
放射光の電子の軌道面から外れた所から円偏光を取り出すため、軌道面の直線偏光部はTa製のビーム・トラップで遮断した。強磁性元素Fe,Ni,Coの吸収端の波長に合わせ、放射光の偏向磁石と縦型ウィグラーのスペクトルの縦成分分布から軌道面の斜視角を選ぶため6種類のビーム・トラップを製作した。従って上下又は左右に分けられた半白色のヘリシティの異るビームは各々対称位置に設定された単色器Si又はGeの(111)面でブラッグ反射させ、或る波長を取り出す。その波長は吸収端近傍の前後にわたって単色器のブラッグ角を変えることで連続的に変化させる。取り出された二つのビームは平行になっているので、単色器を少しあおって試料上の一点に焦点させる。且つ二つのビームは交互に一定の周期でチョッパーにより遮断される。その周期と同期するように試料にかける磁場は磁極反転する。磁場発生器は主として低温での研究を計画しているので超伝導磁石を製作した。 検出器としては迅速にデーターを摂り込むため、湾曲型PSPCを製作した。これには弱い信号が充分計測出来るようにプローブ・ガスとしてのマジック・ガスを約10気圧で流して使用する。エレクトロニクスも時間デジタル・コンバーターにより高速化をはかった。 現在これらにより通常のX線回折を試みたがライン等から入るノイズが多大の防害をしていることが分り、ライン・フィルター等を入れたり、又Be窓の散乱をさけるため、試料部のX線透過窓にはカプトン等を使用するよう改善を計っている。 次期の放射光のマシンタイムには、先ずビームの偏極度を決定するため、磁気コンプトン散乱の測定を行う。又従来磁気散乱の測定を行って来たGdやHoについての高分解能の磁気コンプトン散乱の測定も行う予定である。
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