研究概要 |
本年度の研究の主要テーマは, 新しいU化合物及びCe化合物を作製し, その物質の電気抵抗,磁氏,比熱等の物性を測定し, 超伝導及び磁場誘起超伝導の可能性を探ることであった. 1.我々は上記の目的にそって,U化合物の作製を進めている. 化合物として, U_2TC_2(T=Pt,Ir,Ru,Rh,Pd)及びUTX(T=Ni,Pd,Pt;X=Si,Ge,In)を作製して, 現在10mkまでの電気抵抗を測定中である. このうち, U_2PtC_2では0.5Kで超伝導を示す. しかし文献によると約1.5Kで超伝導を示すとされており, 我々の試料はまだTcが低い. この原因は, Uの純度あるいは熱処理に問題があると考えられ, さらに試料の質を上げる必要がある. 上部臨界磁場Hc_2の傾向は40koe/Kと大きく, この値が電子の有効質量に関係すると考えると, 有効質量の比較的大きな物質と思われる. しかし, 研究は進行中でありさらに詳しい検討が必要である. 2.一方, このような重いフェルミ粒子系の物性研究には, 極低温における比熱の測定がかかせないが, 現在希釈冷凍機と^3He温度領域の比熱測定装置を作製中である. 3.昨年度に研究を行なった磁性超伝導体Eu_<0.8>Sn_<0.2>Mo_6S_<7-y>Seyの磁場誘起超伝導について, その機構が伝導電子とEuイオンとの反強磁性的相互作用にあるとした結果をまとめて, 第18回低温物理学国際会議及び超伝導に関する山田コンファレンスにおいて報告した. またCePd_2Ge_2において観測された磁気抵抗の異常, 比熱の測定結果を同じく山田コンファレンスで報告した. これらの報告は, Jan,J,Appl,Phys,26 suppl.26ー3及びphysica148Bに発表された.
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