研究課題/領域番号 |
61460034
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 典男 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40111306)
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研究分担者 |
岩崎 秀夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70168558)
小山 富男 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30153696)
三頭 聰明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (30005938)
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キーワード | 超伝導 / 磁場誘起超伝導 / 磁性超伝導体 / 重いフェルミ粒子 |
研究概要 |
セリウムを含む3元化合物CeTX(T=Ni、Pd、Pt;X=Si、In、Sn)ではCePdIn、CePtIn及びCePtSiで重い電子状態が観測されている。またウランを含む3元化合物UTXではUNiAlとUPdInにおいて比較的大きな電子比熱係数を持つという報告がある。我々はこのUTX型の化合物に注目し、本年度の研究を進めた。試料はアーク溶解により作製し、真空中で2日間アニールした。作製された試料はUPdGe、UPtGe、UNiSi、UPdSiである。この他にInを含む試料を試みたが良い結果は得られなかった。UPdGe及びUPtGeでは温度の減少とともに抵抗は緩やかに増大し、極大をとったのち急激に減少する。一方UNiSi、UPdSiでは、極大をとらず単調に減少し、低温で急激な減少を示す。特にUPtGe及びUNiSiにおいて興味深い現象が見い出された。UPtGeはCeCu_2(orthorhombic)型の単一相が得られた。電気抵抗は140Kから70Kにかけて-lnT依存性を持ち、さらに30K付近での抵抗の急激な減少に伴い大きな負の磁気抵抗を示す。磁化の測定から、この物質は約65K以下で反強磁性状態にあり、さらに35K程度で強磁性状態に転移するものと考えられる。電気抵抗及び磁気抵抗の異常な変化もこの磁気相転移を考慮することによって説明できる。UNiSiでは0.25で電気抵抗がゼロになる。これは明らかに超伝導転移によるものと考えられるが、転移の中点で定着した上部臨界磁場H_<C2>のT┣D2C近傍での傾きは-(dH┣D2C2┫D2/dT)T┣D2C〜17.5kOe/Kと比較的大きく、弱い重いフェルミ粒子系と考えられる。しかし、比熱のとびなどはみられず完全な単一相にはなっていないものと思われる。 以上のように、UTX系で磁場誘起超伝導を見い出すには至らなかったが、いくつかの興味深い現象を観測し、今後さらに詳しい研究を行なう予定である。
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