研究課題/領域番号 |
61460039
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中塚 宏樹 筑大, 物理工学系, 助教授 (10111915)
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研究分担者 |
井上 雅博 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (00013532)
大成 誠之助 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (70015824)
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キーワード | 超高速緩和 / フォトンエコー / インコヒーレント光 / パーシステントホールバーニング / 位相緩和時間 / スペクトル線の均一拡がり |
研究概要 |
1.アルゴンレーザー励起による連続発振色素レーザーシステムを完成させた。今後はこれをモード同期発振させる予定である。その際、アルゴンレーザーと色素レーザーの共振器長をわずかに違えることによってスペクトル幅の広いインコヒーレントな出力光が得られるが、これを用いたフォトンエコーでは、現在行っているナノ秒インコヒーレントパルスによるフォトンエコーに較べてはるかに高いS/N比が得られると期待される。 2.ナノ秒インコヒーレントパルスを用いてポリマーフィルム中の色素分子のフォトンエコーを観測した。この種の物質はパーシステントホールバーニング(PHB)という興味深い現象を示し、将来の超高密度光メモリーの材料として期待されている。この現象におけるホールの幅とフォトンエコーで求まる位相緩和時間【T_2】とは密接な関係があり、それらの比較検討はPHBの研究におおいに役立つものと考えられる。 ポリビニルアルコール中のクレジルバイオレットにおけるエコー減衰曲線で、遅延時間が零付近の鋭いピークの裾に長い緩和時間でゆっくりと減衰する部分が見出された。このピーク及び裾の部分は各々フォノンサイドバンドとゼロフォノン線の寄与によるものと考えられる。この裾の部分から期待されるホール幅は実際にホール幅として観測されるものより狭い。これはPHBのホールを観測する場合、ホールの形成とその観測にかなりの時間を要し、スペクトル拡散など【T_2】以外の影響が無視できないためと考えられる。その意味でもフォトンエコーによる【T_2】はより基本的な量を与えるものと期待される。今後フォトンエコーにより種々の物質において【T_2】の温度依存性を測定しPHBの物理過程に対する知見を得たい。
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