今年度5〜6月は東大海洋研の白鳳丸にて日本海盆南端に沿う海域で、地磁気三成分測定の精査を行った。この結果、地磁気異常縞模様が数10kmの長さで切断されていて、その走向及び同定には全磁力異常によるよりも、三成分異常によった方が良いことが明らかとなった。縞模様の存在は確認されたが、何故に数10kmの長さで切断されているかを解明することが、日本海の拡大形式と関係して残された重要な問題となっている。11〜12月には、鹿児島大学鹿児島丸にて、ヤップ、パラオ島周辺海域で地磁気三成分測定を行った。ヤップ、パラオ諸島の西側のパレスベラ海盆は、背弧海盆として典型的であるが、その北部の四国海盆と較べると地磁気全磁力異常縞模様が明瞭でない。測線の数が少ないことと、振幅が小さいことがこの原因である。この様な海域では地磁気三成分異常の測定が有効で、全磁力異常の約2倍の振幅が観測される上に、一測線で縞模様の存在を検定できるからである。この海盆は、日本海と同様に、短く切断された縞模様が存在することが判明したが、測線の数が日本海と較べて圧倒的に少ないので、更にこれからの調査が望まれる。 船上三成分磁力計をジンバル型から固定型へ変換し、東大海洋研の淡青丸にて日本海での地磁気三成分測定を行った。現在解析中であるが、一ケタ精度が上がったと考えられる。 海底での地磁気三成分測定のための超音波切離し装置の実験は、東大海洋研の淡青丸で行い基礎的な実験に成功した。62年度には、背弧海盆である四国海盆北部にて2ケ月間測定を行う予定でいる。これは日本海、中国及び四国地方、四国海盆を横切る測線下の地殻比抵抗構造を決定するために行うもので、背弧海盆下の地殻構造を知る上で重要である。
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