研究概要 |
本年度は本研究課の第2年度であり,以下の研究計画に基づいて研究を行った. 1, X線トポグラフィ用の高静水圧装置の設計・製作ならびに高静水圧下における氷結晶中の格子欠陥の挙動の研究. 2, 顕微鏡用高圧装置による氷結晶中の空気包接化合物結晶の成長過程の研究. 3, 大型高圧タンクによる高静水圧下における氷の変形特性,特に融点近傍における変形特性の研究. 4, 格子欠陥および空気包接化合物の存在が氷床の流動特性に及ぼす影響の研究. 以上の研究のうち1, 〜3, については十分な研究成果を挙げることができた. 南極で採取されたコア氷の高圧実験により, 1, 静水圧下におけるX線トポグラフ撮影に初めて成功した. 静水圧下での格子欠陥の動的観察にはまだ成功していないが,人工氷単結晶を用いて自己格子間分子の平衝濃度の静水圧依存性を明らかにした. 2, 困難を極めていた空気包接化合物結晶の成長過程の観察に成功した. また,X線回折法によって,その結晶構造を明らかにし,空気分子の存在位置と量を明らかにした. 3, 高静水圧下融点近傍における変形特性には,動的な再結晶過程が大きく影響することが明らかになった. 上記の成果を得たが,氷床深部の流動特性を総合的に論ずるにはまだデータが不足しており,さらにデータを蓄積し所期の目的を完遂する予定である.
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