1本年度は初年度で、新たに顕微鏡冷却加熱装置を設置したので、まず同種装置についての経験者との間で、同一流体包有物試料についての比較測定を行い、今回設置した装置が室温から350℃までの間では、再現性も良く、カタユリも数℃以下であることを確認した。350℃以上については適当な試料が得られなかった。 2従来より鉱床学的に検討して来ていた秋田県餌釣里鉱鉱床産試料(石英)について、2相流体包有物の検索とその加熱実験を行い、150℃から250℃の均質化温度を得た。この値はこの試料についての高温-低温論争の後者に近いものであるが、流体包有物が微粒で、加熱の際気泡消失直前のブラウン運動操の動きにより観察不能になることが多く、追加して検索と測定を行う必要がある。 3変成岩については当初計画した日高地方からは測定に耐える包有物を見出していないが、常呂地方の変成岩中のアルカリ輝石-石英脈の石英の中に2相流体包有物を見出し、加熱実験により250℃程度の均質化温度を得たが、この値は圧力補正を考慮しても鉱物の化学組成から推定される温度とかなりの差があり、更に検討を要する。
|