研究概要 |
1,磁気円二色性吸収および発光測定装置の製作 本年度予算にてアルゴンレーザおよび高速高感度赤外線検出器を購入,また、レンズをはじめ光学部品を組合せ,さらには現有の他装置からいくつかの部品を流用し,磁気円二色性吸収および発光スペクトル測定装置を製作した。また信号処理の方法につき検討した。 2,半導体の不純物準位に関する光吸収スペクトルの測定 当初計画に従い、半導体中に添加された遷移金属のもたらす深い準位に関連する赤外〜近赤外領域の吸収を調べた。測定した試料は、気相化学輸送法で作成した遷移金属(Cr,Mn,Fe)添加のカルコパイライト型半導体(CuIn【S_2】,CuIn【Se_2】および水平ブリッジマン法で製作された市販のCr添加半絶緑性ガリウム砒素,Fe添加半絶緑性インジウム燐である。これらの試料において、遷移金属イオン内の配位子場遷移および価電子帯から遷移金属イオンへの電荷移動型遷移にもとずく吸収帯の存在を確認した。 3,半導体のフォトルミネッセンススペクトルの測定 アルゴンレーザを励起光として用い、アモルファスシリコン(a-Si:H),カルコパイライト型半導体(CuIn【S_2】,CuIn【Se_2】)のフォトルミネッセンススペクトルの測定を行い、発光のメカニズムと電子状態の関連を検討した。 4,半導体中の深い準位の磁気円二色性吸収(MCD)スペクトルの測定 上述の半絶縁性GaRsiCrおよびInpiFeについて、90KにおけるMCDスペクトルの測定を行った。この結果ギャップ内準位に関係する吸収帯に対応して分散型のMCDスペクトルが見られることを発見した。両試料のMCDの大きさは、ほゞ価電子帯頂のスピン軌道相互作用の大きさに比例し、この吸収帯が価電子帯→遷移金属準位の電荷移動型遷移に指定したことを支持することがわかった。
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