研究課題/領域番号 |
61460064
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中井 靖男 名大, 理学部, 助手 (40022719)
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研究分担者 |
伊藤 憲昭 名古屋大学, 理学部, 教授 (90022996)
谷村 克己 名古谷大学, 理学部, 助手 (00135328)
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キーワード | 表面原子脱離 / 表面電子励起 / 表面励起子 / 表面構造変化 / 電子励起誘起原子過程 / レーザー照射 / 化合物半導体 / GaP |
研究概要 |
レーザー光などによる化合物半導体および絶縁体表面の価電子励起が誘起する原子放出の機構を解明するためには、原子放出に到る励起状態の特定およびプリカーサー状態の構造を明らかにする必要がある。 このためには脱離収量の光子エネルギー依存スペクトルおよび脱離の角度分布測定が非常に有効な手段と考えられる。 一方、これらの測定は表面状態に敏感に依存すると思われるため、よく制御された表面を用いなければならず、原子放出の結果としての表面構造変化の測定はもう一つの重要な手段となる。 このような立場から本年度は先ず化合物半導体GaP結晶のよく制御された(111)清浄表面へのレーザー照射による表面構造変化の光子エネルギー依存スペクトルの測定を行った。 (111)清浄表面の(17×17)再構成構造がある照射強度閾値以上で(1×1)構造に変化する。 この閾値の光子エネルギー依存性をGaP結晶の間接バンド間遷移エネルギーEin近傍(2.2eV)より直接バンド間遷移エネルギーEα近傍(2.8eV)の間で調べた。 このエネルギー範囲内では閾値は同一オーダーにとどまるがEin近傍に強いデップが存在することを明らかにした。 バルク結晶の光吸収係数はEin近傍にこのデップに対応するような構造を持たぬこと、大きさがEd近傍の二百分の一に近いこと、さらに測定された表面構造変化が表面第一層近傍であることから、測定結果はレーザー照射による表面電子励起スペクトルであると結論出来る。 即ち、GaP(111)表面にはEin近傍に原子放出および表面構造変化にかゝわる表面基礎励起又は表面励起子準位が存在することを明らかにした。 この種の励起スペクトルは他の手段での測定例が未だない。 現在、表面構造変化測定にくらべ感度のより高い共鳴イオン化法によるレーザー誘起脱離の実験を行いつつあり、より詳細な励起スペクトルおよび脱離の角度分布の測定を進めている。
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