研究概要 |
昭和61年度の研究計画に対して以下に示すような研究実績が得られた。 1.負イオンビーム蒸着装置の開発 研究担当者等が開発したアルカリイオン及び中性粒子照射併用型重負イオン源を用いて、質量分離および減速することによって、負イオンビーム蒸着に適する運動エネルギー範囲(数eVから数100eV)の超低エネルギーの負イオンビームを得ることができた。100eVの超低エネルギーでも【C^-】:約90μA、【C(^-_2)】:約40μAが得られ、当初の目標を達成した。負イオンビーム蒸着装置は、負イオン源からのガス放出がないので、蒸着領域を容易に高真空にできる、負イオンビームの減速時に逆加速正イオンがないので極めて正確に運動エネルギーの制御ができる、【C^-】や【C(^-_2)】のような結合形態の異なるイオン種が使える等、正イオンを利用する装置に比べて極めて多くの特長を備えていることが分かった。(R.S.Iに発表) 2.負イオンビーム蒸着による膜形成技術の研究 研究計画1において開発した負イオンビーム蒸着装置を用いて、純粋な【C^-】および【C(^-_2)】による炭素蒸着膜の正確な運動エネルギー依存性を調べた。炭素蒸着膜の光学的バンドギャップ,電気抵抗率,密度は強い運動エネルギー依存性を示し、エネルギーが100-200eVで極めて良質の膜ができることが解った。しかも【C^-】よりも【C(^-_2)】を用いた方がより良質の膜が形成されることが分かった。(J.A.P.に発表される予定) 3.負イオンビームと気体との相互作用に関する研究 負イオンビーム装置の設計上極めて大切な情報である負イオンビーム崩壊断面積を測定した。負イオンビームエネルギー5-40kV,イオン種【C^-】,【C(^-_2)】,【O^-】,【B^-】,気体の種類アルゴン,窯素である。(Vacuumに発表)
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