1.歯車装置の振動挙動を詳細に把握すべく、以下の歯車装置を構成した。 (1)任意の長さの軸を取り付けられる様に、軸受が軸方向に移動できる。 (2)減速比は1とし、歯車を軸上の任意の位置に固定できる。 (3)歯車の質量を一定として、振動の原因である歯の部分のみの歯幅が異なるはすば歯車対を用意した。 以上により、歯車装置を構成している主要なばねの要素の剛性を変え、この振動系の振動挙動を検討した。 2.上述した装置を用いて以下のことが明らかになった。 (1)系の固有振動数には、歯のばね剛さや軸の剛性が大きく寄与しており、歯車の取り付け位置も影響を及ぼす。特に軸の剛性の影響が大きい。 (2)軸受より外側の軸端部への付加質量によっても固有振動数が変化する。 (3)歯車系の振動加速度の大きさには、振動源である歯の諸元の性能の影響が大きく、軸の剛さの影響は少ない。 3.このような特徴を有する振動系に、伝達マトリクス法を適用して解折を行った。その際、軸、作用線およびそれらに直交する3方向の変位、さらに各方向まわりの回転の6自由度の振動をとり上げ、装置外部の動力伝達用軸の質量・剛性を考慮にいれた。その結果、固有振動数の変化の傾向や、振動モードが実験結果と良く対応することがわかった。 4.固有振動数の値自体には、実験と解析で若干相違が認められ、振動系の中のばねや質量の要素について、さらに検討を要する。 5.作用線方向で考えた軸のばねの効果が歯車の歯のばねの10倍以上あれば歯車系の固有振動数は-自由度系として求められることがわかった。
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