研究概要 |
本研究の特徴は、圧縮機,タービンの翼列,ノズル,ディフューザベーンなどの流れを、一般曲線座標格子を用い差分法で解析する際に、物理空間の運動方程式ではなく、写像空間の反変速度の運動方程式を解くことである。こうすることによって、オイラー方程式の場合には固定壁境界条件の取扱いが容易に陰解法でも正確にでき、またナビエ・ストークス(以下NSと書く)方程式でも高次モデルと壁法則の導入が容易になる。 1.二次元または三次元の遷音速NSコードの開発 先に開発したオイラー方程式の陽的または陰的コードに粘性項を考慮することによって、各種のNSコードを作成した。ただし粘性項は簡単のため非保存形のものが用いられ、陰解法の左辺の計算ではその主要部のみオイラー方程式の固有値に加えられた。 乱流の計算にはとりあえず二方程式k-Eモデルを用いたが、これらの式も△形近似因子化法と特性速度による上流化法を適用して安定に解かれた。また境界層内の格子点を減らすため対数則による壁関数が導入された。この解法は【10^6】の大きさの高レイノルズ数の乱流にも適用できる。 2.二次元または三次元の非圧縮NSコードの開発 MAC法に代表されるNS方程式と圧力のポアソン方程式を解く方法が普通用いられているが、一般曲線座標格子では連続の条件を完全に満足させることと、いわゆるspurious誤差の発生を押えることが問題になっている。ここではMAC法と同様の食い違い格子,反変速度の運動方程式,ポアソン方程式に付加項を用いることによって、上の二つの難点を克服した各種の解法を完成させた。
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