昭和63年度の研究実績は以上の通りである。 1.速度乱れの三次元計測:瞬時速度乱れの三次元分布を定量的に測定するため、デジタル画像処理手法を用いた、乱流三次元計測手法の開発を行った。信頼性の高い乱流統計量を得るため、システムの完全自動化による大量の画像データの高速処理を達成した。回転二重円筒間の非定常層流及び一様等方性乱流の測定を行い、本計測手法の健全性を確認し、また計測の不確かさについて系統的に評価した。本手法を用いて、十分に発達した二次元チャネル乱流の測定を行ない、壁近傍領域における速度乱れ3成分に関する高精度のデータを得た。 2.流れ場の非定常三次元構造に達成する固体壁面内の非定常熱伝導に関する考察:昨年度開発した構造論的乱流モデルを用いて、流体のプラントル数、固体壁厚さ、流体と固体のサーマルアクティビティの比をパラメータとして変化させ、壁近傍の乱流温度場を固体壁内熱伝導と達成させて数値的に解折した。その結果、固体壁内熱伝導の影響は、平均温度分布については無視し得ること、工学的に重要な壁面温度乱れを含む温度乱れの統計量に対しては、壁面に近接する領域でその影響が著しいことを初めて明らかにした。 3.総括:三年間にわたり行った実験及び数値解折による成果のとりまとめを進めた。実験的には壁面乱流の壁近傍の統計量とともに縦渦構造に関する多くの知見を得た。これらの実験的知見を基に数値解折の上では、縦渦構造の構造論的モデル化を行って、運動量・熱の乱流輸送における重要性を示すとともに、固体壁側非定常熱伝導の達成効果に対する定量的知見も得ることができた。一部の実験データが未処理のため、最終的な成果をとりまとめるためには、なお数カ月の時間が必要である。
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