研究概要 |
前年度に引続いて, 熱水滴下管を用いて上段管群を模擬する方法による, 水平円管群上への滴状凝縮実験を的い, 上段管からの落下凝縮液によって下段管の伝熱特性がどのように変化するかを調べた. とくに, テスト用凝縮管の表面温度の測定精度を向上させ, 前年度よりも信頼性の高いデータを得ることができた. ただし, 多段管群の伝熱性能について前年度に得られた結論を変更する必要はないと判断した. 滴状凝縮を長時間維持するための低エネルギー表面の開発については, 数種類の金属めっき面のテストを行ったが, あるものは耐久性の点で, 他のものは撥水性の点で問題があり, 所期の成果を得るには至らなかった. 滴状凝縮の熱伝達率をさらに向上させる目的で特殊な凝縮管を製作してテストを行った. この凝縮管は, 円管外表面に細い角形溝を切ったもので, 凸部表面のみが撥水性を持ち, 溝部は親水性となっている. このような円管の内側に冷却水を流して凝縮を起こさせると, 凸部表面で滴状凝縮が生じるが, そこで発生した液滴は, 凸部の両側面からはみ出す大きさまで成長すると, 溝部内を流下する凝縮液に吸収されるので, 最大径が凸部の幅によって制限される. 一般に滴状凝縮の熱伝達率は, 凝縮面上にある最大液滴径が小さいほど高くなるので, 凸部の幅の狭い溝付伝熱面では大きな滴状凝縮熱伝達率が得られるはずである. 本年度は, このような凝縮面の凸部/溝部のピッチを様々に変えて測定を行い, 予測を確認することができた. ただし, 本年度は表面上での熱伝達率分布の詳細な測定には至らなかった. これらの研究のほかに, 滴状凝縮過程を電子計算機によって数値的にシミューレーションするためのプログラムを開発した.
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