研究概要 |
本年度は前年度に引続き,リニア誘導モータによるスロッシング抑制の実験およびシミュレーションを行った. 前年度,リニアモータの電磁反発力により,ガイドレールにハンマリングを起して加速度波形に乱れを生じたのを改造し,その装置により実験を実施した. 今年度は改めて,4変数(スロッシング波高,速度,容器相対変位,加速度)につき地震動を外乱と考えた適応制御理論により諸定数を定めて,リニア誘導モータの非線形性を計算機(PC9800)により補正して,制御を行いその目的を達することができた. 前年度の結果に比し,加速度も十分低レベルに抑えることができた. 次に,リニアパルスモータにより,トリガ機能を付与した. これは,低摩擦系の場合,ドリフトにより相対変位が増大するのを防止するために必要な機能である. これを付与すると全体の制御性能は相対的に悪化することもあるが,その場合でも制御をしていない場合に比べては著るしく改善されているので実用面からみて問題がないことがわかった. 実験用地震波形として,日本海中部地震の秋田における記録を時間軸を修正して,EL Centro波,八戸波とともに使用した. このいわゆる秋田波は,周期9sec程度に顕著な卓越成分があり,これを系のスロッシングの一次(約1sec)に合せて時間軸を短縮して用いることにより,スロッシング解析用に有用であることも明らかにすることができた. シミュレーションは通常の手法によって行った. 対象系をHousnerモデルと,ポテンシャル・モデルと両者で表現することを試み比較した. 1自由度系で表現するHousnerモデルで十分であることが判明した. ただ,トスアップモードの混入が若干あったが,これは次元の高いポテンシャル・モードでないといずれにしても表現できない.
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