研究概要 |
61年度研究計画の内、1,2,の項目に研究の主力を注ぎ、幾つかの新しい知見を得た。3,については現段階では実験装置全体の構成が終了した状態であり、これから実験を行なって成果を得る予定である。3,の結果と2,の結果とから4,の比較検討が行なわれ、研究が進展する予定である。 計画1,については、ガラス基盤上にPtを島状に真空蒸着することにより検波素子を作製した。筆者等の最近の研究成果から、蒸着時に基板の電極間に数kV/cm程度の電界を印加すると、検波感度の良い素子が得られる事が判明している。この場合電界が或値以下だと効果が無く、逆に強すぎると薄膜と電極の境界部分に亀裂が生じて素子が切断される危険があった。今回は蒸着時に電極間に流れる電流をレコーダで監視する事により、島状薄膜と電極の境界に切断が起こる場合には、電流値が不安定に変化する事を発見し、印加電圧の上限を決める事が出来た。また蒸着が終了した後の電流値の変化の傾向から、基板上での金属の島の動向が推定出来ないかを検討している。 計画2,については、50GHzのミリ波帯で1,の素子の検波特性を測定した。測定回路中の信号源の変調器や出力回路の高周波特性を改善する事により、従来よりも高い変調周波数まで検波出力を測定出来るようになった。また検波感度の良さの指数(Ks),(Kn)を算出する関数として従来は動作時に素子に印加するバイアス電圧値を使用していたが、これをバイアス電界の強さに換える事により、より有意な指数(Kse)、(Kne)とする事が出来た。 計画3,については、波長10.6μm発振源である【CO_2】レーザを自作、発振に成功して電力計,ビームスブリッタ,減衰器等を準備し、各部の特性を測定して検波感度の測定回路を構成中である。 計画4,は3,により10.6μmの検波感度が測定出来れば2,のミリ波帯の測定値と比較検討する事により、結論が得られるものと思う。
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