研究概要 |
62年度研究計画の内,1,2に関し,先ず赤外領域における検波器の感度を検討するための島状金属薄膜素子を作製した.従来ミリ波帯で使用した石英・ガラス基板は, 赤外領域の光波を殆んど透過しないことが判明したので新たにKCl(透過率約90%)基板を用いた.研磨したKCl基板上に真空蒸着法でAu電極及びPtの島状薄膜を形成したが,KCl基板上への金属の蒸着条件や検波に適当な島状薄膜の直流抵抗値などの検討がまだ十分なされていないので,検波感度の良好な素子が得られているとはいえない.この島状金属薄膜検波素子を光波用マウントに挿入した検波器に,波長10.6μmのCO_2レーザ出力を照射して検波出力を測定する実験を行った結果,検波出力が得られたが,まだ極く微少で,ミリ波帯と赤外領域との検波感度を比較出来る段階には至らなかった.この原因は,光波革における回路調整が不十分な事等が考えられるので,今後は,KCl基板の金属薄膜素子の作製条件を検討すると共に,光波帯における感度測定のための回路構成についても,共振器回路を構成するなどの検討を進め,ミリ波帯との感度比較を実現するため努力する 次に研究計画3を行う準備として,波長337μmのHCNレーザ(自作)の発振出力の増大と安定性の向上を図った.先ずレーザ共振器を構成する2枚のミラー間隔を平行に微動可能にするため,ミラー移動用のマイクロメータ部分を改良した.ミラー間隔を微調整して求めた出力最大点で,放電電圧・電流および(CH_4+N_2)ガス圧を変化させて出力特性を測定した.使用ガスにHeを添加した場合には,発振範囲は広くなるが出力は減少することが判明した.この実験の結果からHCNレーザの最大出力を得るための諸条件が求められたので,波長337μm帯における検波感度の比較を行う準備が整った 多層膜素子を作製するための準備として,基板上のSiOなどの絶縁物を真空蒸着する条件を検討中である.
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