研究課題/領域番号 |
61460144
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
久保 宇市 近大, 理工学部, 教授 (80088335)
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研究分担者 |
太田 文彦 近畿大学, 医学部, 教授 (50088530)
久山 健 近畿大学, 医学部, 教授 (80088525)
林 光澤 近畿大学, 理工学部, 講師 (70029213)
中山 斌義 近畿大学, 理工学部, 助教授 (60023313)
犬石 嘉雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (90028902)
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キーワード | エキシマレーザー / 医用レーザー / 非炭化切開 / 光化学的作用 / 切開 / 穿孔 / 軟組織 / 硬組織 |
研究概要 |
エキシマレーザー(KrF,波長0.248μm)を用いて動物の軟組織(肉など)及び硬組織(骨・歯牙など)に対する照射効果を赤外レーザー(【CO_2】,10.6μm)の場合と比較・検討した結果、以下のことが明らかになった。 1.KrFレーザー照射では切断面に炭化層はほとんど見られず、照射部周辺への凝固層の拡がりも【CO_2】レーザーに較べて小さい。また、KrFレーザーの場合、【CO_2】レーザーに較べて発煙量は極めて少なく、臭気も微弱である。 2.切断面組織標本にも炭化・組織の異常は認められず、照射部近傍の温度分布からもKrFレーザー照射は熱作用の少ないことが確認された。 3.生きたマウスを用いて止血効果を調べた結果、KrFレーザー照射は熱作用が少なく、赤外レーザーのもつ熱凝固止血能をもたないことが判った。 4.【CO_2】レーザーの骨切開では炭化層が厚く、切開面の再生機能が失われるが、KrFレーザーの場合、熱効果が少なく、非炭化骨切開が可能である。 5.KrFレーザーの照射パルス繰返し時間間隔と照射対象への作用を調べた結果、軟・硬組織ともにパルス時間間隔が短くなると熱変性層は厚くなる。組織に熱変性を与えない照射パルス時間間隔KrFレーザー出力尖頭値10MW,パルス幅23ns,照射ビーム径1mmφの場合、軟組織では20ms以上、硬組織では50ms以上であることが判明した。 KrFレーザー照射の場合、切開面に炭化及び組織の異常を与えない原因には次の2点が挙げられる。(1)【CO_2】レーザーに対してKrFレーザーは波長の短い紫外ビームで、光化学的作用が考えられる。(2)【CO_2】レーザーが連続照射であるのに対して、KrFレーザーは高出力尖頭値、短時間パルスの連続パルス照射で、この違いによる影響が考えられる。今後、このいずれが主な原因になるかを追究すると共にKrFレーザーの医用化を進める。
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