研究概要 |
前年度に引続いて, 62年度はおもに本法の適用性検討のための応用実験を行い, その結果について評価した. 実験に持いた試料は次のとおりである. (1) Na_2WO_4・2H_2O水溶液(W:0〜20wt%) (2) WーSiO_2混合粉末 (W:0〜20wt%) (3) FeーW合金(W:0〜15wt%) (4) Pb(NO_3)_2水溶液(Pb:0〜20wt%)(5) PbSーSiO_2混合粉末(Pb:0〜35wt%)(6) U_3O_8粉末 (U_3O_8:0〜4.0wt%) 以上の6種類. 試料容器には, (4)〜(5)が48mmφ,80cm^3,(6)が37mmφ,40cm^3の各ポリエチレン製容器を用いた. γ線源は,^<137>Cs3.7×10^9Bq(100mCi)を用い, 測定時間300秒で, 各KX線計数値は10^4程度であった. 測定結果については, 試料中の高原子番号元素濃度とそのKX線計数値, あるいはKX線/コンプトン散乱線計数比に基づく2つの検量線を求めて検討した. とくに, 後者の方法は試料の成分組成, 粒度, あるいは密度などの変動による影響が少ない. コンプトン散乱線は, 実験装置条件を最適化した場合でも, KX線と同程度の計数率を有する. また, 散乱線強度は各試料状態にもよるが, 高原子番号元素濃度にあまり依存をせず, ほぼ一定である. 前者のKX線計数値を用いる方法による場合の測定精度は, 各試料について次の場合, 相対精度(1の)6%以下が得られた. (1) W1.0wt%以上 (2) W3.5wt%以上 (3) W3.0wt%以上 (4) pb0.7wt%以上 (5) Pb2.0wt%以上 (6) U_3O_81.3wt%以上 粉末試料と水溶液試料では, 後者の方が検量線の飽和傾向が大きいため, 適用範囲が狭くなる.
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