研究概要 |
石炭灰の建設用材料としての有効利用を目的として, 石炭灰の物理的化学的特徴を明らかにするとともに, 実用化に当たって研究が不足している低品質フライアッシュおよび炉底灰の土質安定材, 路盤材およびコンクリート材料としての適用性について検討した. その結果, 石炭灰の土質安定材としての利用については, 石炭-フライアッシュ安定処理として砂質土またはシルト質土に適用するのが有効であり, 石炭灰の路盤材料としての利用については, フライアッシュを適度な含水比で締め固めると材令とともに強度が増大するという性質があり, フライアッシュー炉底灰混合物は路盤材料として有効に活用できることが明らかになった. また, フライアッシュのリーンコンクリート舗装路盤への利用については, フライアッシュの使用によりリーンコンクリートの施工性, 強度, 乾燥収縮性状および耐久性などが改善され, フライアッシュ含有リーンコンクリート(Wet Lean ConcreteおよびDry Rolled Lean Concrete)は強化路盤としての機能が十分に期待できることが判明した. 一方, 石炭灰のコンクリート材料としての利用については, 比較的多量のフライアッシュを混和材として使用したコンクリート(フライアッシュ置換率:50%)でも養生が適切であれば大きな強度の発現が得られ, 耐硫酸塩性などの化学的耐久性なども大きく改善されることが確認された. さらに, 炉底灰のコンクリート用細骨材としての利用については, 炉底灰の性状は軽量骨材に類似しており, コンクリート用骨材として利用した場合には強度, 耐久性が小さいこと, 未燃炭素分が多いために良好な空気連行性が得られないことが問題になることが明らかになった. 石炭灰の有効利用においては, 石炭灰の化学組成, 物理的性状およびポゾラン材料としての性能などを考慮して, 低品質フライアッシュおよび炉底灰に適した用途を開拓することが必要になる.
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