研究概要 |
現実の正規圧密地盤の強度は平均的には深さにほぼ比例して直線的に増加している。しかしながら地盤表面が乾燥あるいは波などによる繰り返しせん断応力等の影響を受けると表面付近で非常に大きな強度を呈する場合のある事が報告されている。 このような地盤の支持力・変形性状を明らかにするため、模型地盤の作製に関する実験システムを開発すると共に載荷実験及び安定解析を行ない、次のような結果を得た。 (1)、圧密圧力を段階的に196〜78kpaまで低減させながらクラストに相当する40mmの粘土層と圧密圧力が20kpaで層厚が120mmの粘土層を室内で作製し、これを反転させて100gの遠心加速度場で自重圧密した模型地盤の力学性状を調べた。その結果、応力履歴、実測した含水比あるいはコーン貫入試験より推定した模型地盤内の強度特性は目標値をほぼ満足する事が明らかとなった。 (2)、(1)で述べた方法によりクラスト上端の強度【Cu_1】とその下端部強度【Cu_2】の比【Cu_y】【Cu_2】を4通りに変化させ、クラスト下の正規圧密層部の強度特性(K〓0.3kpa/mm)を一定とする地盤に基礎巾50mm,載荷速度6mm/minで載荷実験を行なった。これによれば地盤表層に強度の大きいクラストが存在すると地盤の支持力は増大し、載荷に伴う変形がクラスト下部の弱層中に集中することが認められた。さらに観察に基づいて破壊メカニズムを仮定して行なった上界値計算結果と実測値は【Cu_1】/【Cu_2】〈4の範囲で比較的良い一致が認められた。 (3)、さらにクラスト層厚hに対する載荷巾Bの影響を検討するため、B=3,5,8cmとした載荷実験を行なった。その結果、載荷巾の増大に伴い支持力が小さくなることが明らかとなった。
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