研究概要 |
昭和61年度の研究計画の実施は若干遅れており、環境防災棟に巾1.8m,長さ20m,側壁高0.4mの開水路を新設しその給排水装置を完成した事、東京光電製の蛍光分光光度計を購入した事、及び設備の予備実験を実施した事が実験的成果である。 一方、北米における自然河川及び人工水路での拡散実験データを再検討した所、流れ断面に存在する停滞域の主流域移流拡散への影響が一次元モデルにおいてすら水理学的に調べられておらず、化学反応を伴う溶存質の濃度予測に極めて不充分であることが判った。この現象は本邦河川へのストリームチューブ法の活用に当っても先づ基礎的に解決されねばならぬ問題であるとの結論になったので、主流域濃度に関する二次元非定常のストリームチューブ方程式と停滞域濃度についての移流流速をゼロとする方程式を組みあわせた二階同次の方程式を導入した。この連立方程式は数値解法で、解かねばならぬため目下その手法を選択中である。この数値解と実測によって得られる停滞域の断面積及び濃度に基づく実験との比較によって、従来不可能であった主流域と停滞域の境界における交換係数が求められ、水理学的に満足出来る拡散の予測が可能となろう。以上が今年度の理論的研究成果である。
|