研究課題/領域番号 |
61460175
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
瀬尾 和大 東京工大, 国立大学(その他), 助教授 (30089825)
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研究分担者 |
翠川 三郎 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (00143652)
佐間野 隆憲 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (60110186)
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キーワード | やや長周期地震動 / 長大構造物 / 地震観測 / 地盤構造 / 表面波 |
研究概要 |
長大橋、超高層ビルなどの長大構造物の地震応答に大きな影響を及ぼす地震動のやや長周期成分の特性と深い地盤構造との関係を観測的に明らかにすることを目的として、首都圏南西部で速度型地震計による地震観測網を展開してきた。本年度は本補助金により購入した地震計及び記録計を、大和市下鶴間及び横浜市港南区日野の2点に新たに設置した。これにより首都圏南西部での観測点は計11点となった。これらの観測点では、1986年11月21日から22日にかけての伊豆大島付近の地震を始めとして多数の記録を得た。また、首都圏北西部の熊谷周辺の3点でも新たに観測を開始し、1986年12月30日の長野県北部の地震などの記録を得た。 これらの観測結果から以下の知見を得た。(1)伊豆大島付近の地震の首都圏南西部での記録には全般的に周期7〜10秒の成分が卓越しており、a)その振幅は、震源に近く堆積層の薄い江ノ島や大船に比べ、震源から遠く堆積層の厚い長津田や大岡山の方が2倍程度大きいこと、b)この周期成分の振動卓越方向はおおむね震源の方向と直交すること、c)この周期成分には分散性が認められ、その群速度は地盤構造から期待されるラブ波のそれとよく一致すること等から、この地域に存在する厚い堆積層によってこの周期成分の表面波(ラブ波)が成長し、大きな振幅となったものと考えられる。(2)長野県北部の地震の熊谷周辺で観測された記録には、1984年長野県西部地震の熊谷測候所での記録と同様にS波初動部から約1分遅れて周期数秒の後続位相が認められた。3点での記録を比べると、はっきりとした位相の対応がみられない部分もあるが、後続位相には顕著な分散性がみられ、その群速度は1Km毎秒以下であり、この後続位相が観測点付近の深い地盤構造を反映した表面波である可能性が高いことがわかった。
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