研究概要 |
本研究は, 練りまぜ直後から硬化後までのコンクリートを対象とし, その物性あるいは機械的性質の評価法として超音波横波パルス法を確立することを目的として行ったものである. 以下に本研究の成果の概要を述べる. 1.コンクリートの凝結試験法としての適用性について コンクリートの凝結性状に影響をおよぼすと考えられている各種要因について検討を行った. その結果, 凝結開始時間が主として水セメント比および養生温度に依存することを明らかとし, その算定方法の提案を行った. また, 凝結開始時間の変動係数として6%未満の値が得られ, 実用化の可能性が認められた. 2.凝結開始時間の施工管理特性値としての適用性 一例として, コンクリートの打継ぎ許容時間を管理対象として検討を行ったが, 振動締固めを行う場合の打継ぎ許容時間が凝結開始時間とほぼ一致することが明らかとなり, 本方法の有効性が確認された. 3.横波透過波について コンクリートの凝結の各段階毎に吸収係数が極小値を示す周波数が存在すること, また, その周波数が時間経過と共に, 次第に高周波側に移行することが明らかとなった. ここでは, その周波数が振動締固めにおいて最適振動数を設定する際の有用な指標となることを示唆した. 4.非破壊試験法としての適用性について 本方法のコンクリートの強度推定法としての適用性について検討を行った. 調合, 材令等に因らずコンクリートの圧縮強度をその動的ずり弾性率によって一義的に推定することができ, 従来行なわれている非破壊試験法に比べ, 推定精度, 既知である必要があるデータの種類などの点で本方法が秀れた試験法であることを明らかにした.
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