全国レベルで215の戦災都市をとりあげ、戦災と戦災復興関係の文献をリスト化し、ワープロディスクに格納した。従って、いつでも修正・加筆できるようになっている。 また、戦災都市の戦災状況を、種々の指標から整理し、特に戦災の、その都市に対する影響を、量的に、質的に分類し、戦災都市を類型化した。 各戦災都市への問い合わせ調査に先立ち、既存資料からあらかじめ得られるデータを整理し、合わせて調査に添付するための準備を進めた。さらに、戦災復興事業を進めた112の戦災都市(実質は102自治体)については、戦災復興計画と事業を指標化した。この段階で、学会論文を2本まとめた。 一方、戦災復興関係者から収録したテープの文章化を進め、いくつかの傾向・思想・キーワードを抽出した。同時に、この証言、談話は、ディスクに収め、印字、修正が可能なように配慮し、また今後の研究資料に役立て得るようにしている。なお、沖縄における戦災都市(那覇市と名護市)を新たな調査対象に加え、本土側では見られなかった特殊な事態、特異な動きが把握できた。地元と協力して、今少し研究を進める必要がある。 広島市については、さらに多方面から戦災復興計画に関する研究を進め、特に、戦災復興事業の過程で制定された「広島平和記念都市建設法」について、その制定過程の特質を詳細に検討した。これも論文化して発表した。 ただし、戦災都市の数が多く、また資料もまちまちで、作業量が著しく肥大化した。戦災復興関係者の証言や談話の収録およびテープ起しも、かなりの程度進めたが、なお残された作業量は多い。 また、戦災復興関係者への聞き取りが、中国地方を中心として、西日本の都市に偏在しているという問題も残されている。今後、どの程度、全国化できるか、課題である。
|