研究課題/領域番号 |
61460194
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
湯原 浩三 九大, 工学部, 教授 (30091333)
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研究分担者 |
茂木 透 九州大学, 工学部, 助手 (80182161)
江原 幸雄 九州大学, 工学部, 助教授 (10002346)
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キーワード | 火山エネルギー / 地熱 / 微小地震 / MT観測 |
研究概要 |
本年度は九重火山群の中でも最も活発な噴気活動をしている九重硫黄山地域において、多点地震観測及びELF-MT観測を実施し、地下における熱輸送過程及び熱構造に関する情報を得た。 地震観測においては、噴気地域及びそのごく周辺に6台、やや離れた地点に2台,合計8台の地震計を展開し、5月中旬から7月上旬にかけへ連続観測を実施した。その結果、277個の地震が記録され、そのうち80%以上がS-P時間2秒以内のごく近い地震であった。このS-P時間が2秒以内の地震の中でも0.51〜0.75秒及び1.51〜1.75秒に発生頻度のピークがあった。この結果から震源域が2つに別れている可能性が指摘された。半無限一様の地下構造の仮定のもとに決定された震央・震源分布は極めて興味深いものである。すなわち、震央の大部分は活発な噴気地域及びそのごく周辺に存在している。一方また、震源分布を見ると、地震の大部分は噴気地域及びごく周辺の直下に存在しており、地表下3km以浅のものと3km以深のものに分れる。前者の中でも深さ1km以浅の微小地震が特に多く発生している。噴気地域からは多量の熱及び蒸気が噴出しており、地震の発生と地下における熱輸送とが密接な関係にあると推定される。 ELF-MT観測の結果は、噴気地域を含む北西〜南東方向の低比抵抗帯の存在を明らかにした。そして、噴気地域周辺で特に低い値を示しており、噴気地域直下に低比抵抗層が深部まで続いていると推定される。地震発生域はこの低比抵抗層と重なっており、地震の発生が地下の構造あるいは状態と密接な関連をもっているものと考えられる。
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