研究概要 |
本年度の主な仕事は、以下に示した、作製方法の異なる2種類の鉄ネオデュームボロン永久磁石に対して、電子顕微鏡観察を行った。 1,最高保磁力をとる焼結磁石 2,保磁力の低い溶解鋳造した磁石 その結果、この磁石の保磁力のメカニズムを理解する上に重要な、以下の知見を得た。 1,焼結磁石中には、田相の他に、ネオデュームおよびボロンに富む2つの相と粒界に現れる相の、3種類が見いだされた。 2,その3種類の相の中で、結晶粒界に現れる体心正方構造をとる"粒界相"が高保磁力に重要な役割を占めているものと考えられる。 3,粒界相の幅は、ボロン濃度の増加と共に増え、それと共に保磁力の増加がみられた。 4,ネオデュームに富む相は正方構造をとる。ボロンに富む相は、C軸方向に非整合周期をとる正方構造である。この2相は直接的には高保磁力に関与しないものと考えられる。 5,溶解鋳造した低い保磁力の試料には特別な粒界相は見いだされず、用相の結晶粒は介存物なしについている。粒界相がないことが低い保磁力の原因と考えられる。 6,田相の結晶粒内に他相の存在が見いだされた。この相に関しては研究中である。 以下の結果は、本年度で購入したデュアルイオンミリングによる電子顕微鏡用試料の作製を通してできたものである。
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