研究課題/領域番号 |
61460201
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 平 阪大, 産業科学研究所, 教授 (60029840)
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研究分担者 |
松下 健一 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (10150351)
菅沼 克昭 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (10154444)
香川 明男 長崎大学, 工学部, 助教授 (00093401)
村上 健児 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (60112067)
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キーワード | 急冷凝固 / 準安定相 / プラズマ溶射 / ガス溶射 |
研究概要 |
合金を液体状態から急冷させて得られる材料は通常の凝固法によるものよりも強靭となることが多い。しかし、従来の方法では冷却速度を大きくする必要上、得られるのはほとんどが細線、粉末あるいは薄帯である。本研究ではバルク状の急冷凝固材を作製するために溶射法を採用した。用いた溶射用粉末はCを3.4〜3.8wt%、Siを0.8〜1.5wt%、またはCrをそれぞれ9.6、17.3、28.9および38.8wt%含有するFe合金粉末【I】、【II】、【III】および【IV】であり、粒径は53〜105μηである。プラズマ溶射ではこれらの粉末を減圧チャンバー内で厚さ8mmの回転水冷鉄板上に30cmの距離から溶射した。溶射層厚さは約400μηであった。X線回折で相の同定をした結果、粉末【I】〜【III】を用いた場合には準安定Γ-Feが存在した。また、全溶射皮膜で未知の回折ピークが多数現われた。なお、これらの溶射皮膜を1273Kで4.3X【10^4】S間焼鈍後炉冷して得られた平衡相は、粉末【I】〜【III】を用いた皮膜ではα-Feと【M_7】【C_3】から、また粉末【IV】の場合にはα-Fe、【M_7】【C_3】および【M_(23)】【C_6】から成っていることがわかった。マイクロ・ビッカース硬さは粉末【I】を用いた場合に500〜600であり、Cr含有量の増加と共に上昇したが、粉末【IV】では若干低下した。ガス溶射では粉末を厚さ5mmの水冷鉄板に15cmの距離から溶射した。溶射ガンのトラバース速度は約50cm/sである。急冷効果を高めるため、溶射部分の両側に液体窒素を窒素ガスで噴霧し溶射層を強制冷却した。溶射皮膜の厚さは約700μηであり、気孔率はやや大きいがこれは溶射距離を少し長くすると改善されることが判明した。X線回折の結果、全皮膜で準安定γ-Feが存在したほか、粉末【I】と【II】の場合には【M_3】Cが、また、【III】と【IV】ではX相と考えられるピークが現われた。 以上の溶射では全て鉄板表面はグリットブラストにより粗面化および活性化したが、そうする代わりに鉄板表面をSnでコーティングしても同様の効果があることを見い出した。
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