研究課題/領域番号 |
61460210
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金子 元三 北海道大学, 理学部, 教授 (10000720)
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研究分担者 |
和泉 義信 北海道大学, 理学部, 助手 (30002158)
戸倉 清一 北海道大学, 理学部, 教授 (40000806)
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キーワード | キチン誘導体 / 金属イオン吸着機構 / 分子形態 / ゲル化 / 非弾性光散乱測定 / EXAFS / X線小角散乱測定 |
研究概要 |
1)カルボキシメチルキチン(CMキチン)がCaイオンに対し特異的に吸着されることは当研究分担者の一人によってすでに見出されている。この原因解明の一助として、非弾性光散乱法を用いて希薄溶液中のCMキチン分子の拡散定数を測定し、NaイオンおよびCaイオンの添加にともなう分子形態の違いを調べた。また化学構造は似ているがCaイオンへの作用は異なるカルボキシメチルセルローズ(CMセルローズ)に対する同様な測定結果とも比較検討した。この結果希薄な溶液状態ではCMキチンとCMセルローズとの間に差は認められなかった。このことはCMキチンのCaイオンに対する特異的な作用はCMキチン分子単独のものでなく、その分子集合の状態にもとづいてあらわれるものと考えられる。この結果は先の分担者の金属イオンの吸着測定の結果とも一致する。従って濃厚溶液状又は膨潤状態にあるCMキチン集合体の局所構造が重要な役割りをはたしているものと思われる。2)EXAFS測定用試料の製作の目的で第一鉄イオンをCMキチンの2%水溶液に添加したところ著じるしいゲル化を示した。Caイオンの添加ではゲル化は示さない。Caイオンと第一鉄イオンの添加によるCMキチンの会合状態の違いを調べる目的で、これら溶液のX線小X散乱測定を行ない、イオン添加にともなう状態を調べた。Caイオン添加によっても明らかに会合によると思われる状態の変化は認められるが、第一鉄イオン添加の場合にはこれが著じるしい。現在この測定値を解析中である。3)EXAFSの測定は超強力X線装置のマシンタイムの制約によりいまだ本格的な測定を行なうまでには至っていない。しかし購入したモノクロメーターによって測定可能なエネルギーの範圍および標準試料の鉄箔を用いての測定精度及び分解能の検討を行ない、実際の測定に際しての條件を調べた。また第一鉄イオンを添加した0.5%CMキチン溶液を用いて初歩的な測定を行ない試料として適応する條件を調べた。
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