研究概要 |
これまでの実験で得られた空気量は,いずれもエアーメーターによって得られたいわゆるまだ固まらないコンクリートの値であって,成形された製品の空気量ではない. 凍結融解作用に抵抗できる適切な空気量をつかむには硬化後の製品の空気量を求めなければならない. このことから製品の表面の発生する気泡を最小限に,しかも凍結融解作用に充分抵抗できるための空気量を見出さねばならない. 昭和62年度の実験結果を報告する 1)製品の表面に発生する気泡は,2次振動を与えることによって減少させることができる. 2)この実験では,硬化後のコンクリートの連行空気量は少ないもので2,5%多いものでは3,8%であった. 3)前置き時間は長くなるほど硬化コンクリートの連行空気量は減少する. 4)この実験で用いた棒状振動機,側壁振動機による2次振動程度では空気量がそれほど減少するとは考えられない. 5)硬化後におけるコンクリートの自然潜入空気量は,0,7〜1,0%となった. 6)この実験では,気泡の間隔係数は平均220μであり,最大の254μの供試体でも充分耐凍性を示している. 7)気泡の粒径分布をみると,200〜300μ程度の気泡が大部分を占め,これら微細が紀泡が凍結の際に生ずる大きな膨張圧を緩和する働きをしてコンクリートの劣化を防いでいると思われる. したがって空気量が同じであっても,間隔係数,粒径分布が異なるため,空気量だけで耐凍性をきめるのは早計といえよう. 8)昭和63年度はさらに硬化後の空気量の測定精度を高め,コンクリート製品を耐凍性とするために必要な空気量,気泡間隔係数,気泡粒径分布を求めたい.
|