研究概要 |
1.滋賀県愛知川上流永源寺ダム流入量、流域内6地点の降水量資料を整理して、流域平均降水量推定法に検討を加え、算術平均法等に比べ、標高別地帯分割法が積雪期を含めて良結果の得られることを流出解析により検証した。また全流域を1個の長短期流出両用モデルに集約する場合と、地質・降雨条件の差を考慮して、茶屋神崎両川流域・御池川流域の2個のモデルを並列する場合のそれぞれについて、1981,82年の2年間を同定期間としてSP法により最適同定を行い、11年間の資料で検証計算を実施した。その結果、並列モデルのモデル定数は地質特性の差をよく表現しており、僅かながらも再現精度を向上していることなどを明らかにできた。なお、御池川政所地点に水圧式水位計を新設して観測を開始したので、2年後にはさらにモデルの改善ができるものと期待している。 2.京都気象台の1942-86の45年間の100個の豪雨資料を収集整理して、降雨波形特牲を吟味した。その結果、1山波形が全体の約50%であること、1時間最大雨量と6,12,24,48時間最大雨量との間にかなりの相関があること、1時間雨量系列は、単純マルコフ過程とみなされ、この特性を利用して長時間雨量の確率分布が理論的に推定できることなどを実証した。 3.豪雨地帯として知られる大台ケ原を含む吉野川上流域南北50km、東西50kmの地帯にある40地点の豪雨資料を収集整理し、主成分分析により豪雨の地域分類、パターン分類の可能性を調べた。その結果、地域は9地帯に、豪雨は4パターンに纒められること、大迫ダム地点流量が350【m^3】/S以上の出水は、大台ケ原に中心を持つ豪雨によってもたらされ、宮川ダム流域に中心を持つ豪雨時にも大出水になりやすいことなどを明らかにした。
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