研究概要 |
本年導入した設備備品(コンピュータシステム:IF1000M-10)により、各地の溜池台帳を統一的にファイリングするためのソフトプログラムを改良すると共に、近県(大阪府,奈良県,堺市,生駒市など)の台帳をファイルし、主として堤体の規模(高さ,堤長),貯水量などに対して、その分布を明らかにした。 又、現状での改修事例の特徴を分析した。これらより得られた知見は以下のようである。 1.殆んどの溜池はワイルダムであり、かつ築造年も古く老朽化が進んでいるものが相当数あること。 特に堤体のやせほそり(堤体断面の縮少),漏水の顕著なものが多い実状である。 2.改修に当っては、前刃金工法が比較的多く採用されているが、時には樋管部の改修,洪水吐の改修なども多く見られるが、便宜的なものが多い。一方、解析的には、主として、前刃金増設及びグラウチングによる浸透抑制効果を検討した。この結果として、1.前刃金増設の規模に関して同一材料を使っても浸透抑制には限界がある2.全体的な改修(各種工法の組合わせ)を考慮する必要のあること。3.グラウチングは、構成土質材料及び溜池周辺地盤の条件にもよるが、一時的な改修には効果的(漏水に対して)である。などの知見を得た。 又、斜面安定及び圧密などの問題に対しても、基本的なプログラムを改良し、具体的な堤体モデルの安定性を検討できるようにした。 しかし、本年は個々のプログラム開発改良が中心であり、次年度はこれらを統合して、各種改修法に対して総合的な安定性,改修効果などを示せるようにしたい。 又、全国の溜池情報を出来るだけ多く収録し、代表的な区分をし、それぞれに対する効率的な改修法が提示出来るような、システムを構成したく思っている。
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