研究概要 |
わが国で使用されているトラクタは欧米のものと比較すると、かなり軽量であるが、より軽量化することによって走行性,作業能率の向上が予想できる。逆に軽量化されると耐久性に問題を生じることが考えられる。本研究はトラクタの重量の大部分を占めるフレームについてモーダル解析を行い、その結果を利用して軽量化・最適設計法の基礎を確立させることを目的とする。とくに実験的にモーダル解析を行う場合、解析の対象物を加振し、伝達関数を求めなければならなく、その精度が解析の良否を左右する。したがって本年度はインパクト加振とランダム加振の二つの方法によって伝達関数を測定し、モーダルパラメータの相違についての検討を主に行った。 本研究におけるモーダル解析は機関出力9.56KWの鋼板製のクラッチハウジングを解析のモデルとして使用した。モーダル・アナライザーはHP5423Aを用い、インパクト加振はインパルス・ハンマーを使用した。一方、ランダム加振はアナライザーから出力される信号および任意関数発生装置の信号により小型電動加振器に入力させて加振した。また、加振対象物であるトラクタのフレームは53点の有限要素に分割して解析した。その結果、解析周波数を3.2kHzまでとした場合を例にとると、インパクト加振でモードが17,ランダム加振で16あることがわかった。そのうちで低周波数の領域(1kHz以下)ではランダム加振で5,インパクト加振で2点のモードが存在し、1kHz以上の領域ではインパクト加振の方が多くのモードを見い出すことができる。したがって、低周波数領域ではランダム加振法、高周波数領域ではインパクト加振法が有効であることが判明した。 次年度は各部の応力解析とモーダル解析の結果との検討および軽量化のための最適設計とモーダル解析との関係を研究する。
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