研究概要 |
本研究の目的は、弱相対論的エネルギー領域の高電流電子ビーム(EB)入射によるプラズマ電流駆動の可能性とその物理機構を解明する事にある。 1.本年度はそのための(1)高電流電子ビーム発生用高電圧パルス発生装置を設計・製作した。最大電圧20kV,最大充電エネルギー50kJ,ピーク出力電流2kA,最大設定パルス幅99.99mSである。出力電流安定化のための直列抵抗は組合せにより10〜100Ωまで10段階に設定可能であり、きめの細かい調整が可能となっている。(2)模擬負荷を使用して上記の性能をテストし、正常に動作する事を確認した。(3)EB入射用カソード系を試作し、WT-2トーラス装置に組込み、カソードの性能テストを行なった。カソードを材料としてモリブデンとカーボンとを比較した結果カーボンの方がスパッタリングが少なく、カソード寿命も長くなることがわかった。カソードの形状についても改良を行ない、現在のところ印加電圧4kV,ピーク電流0.6kA,パルス幅2msで約200ショットの入射に耐えられるものができた。しかしEB入射時に電子密度、炭素及び酸素の不純物線スペクトル強度の急激な増加が観測され、カソードから大量の不純物が流入していると思われる。この不純物流入を抑える事が今後の重要な課題である。 2.今後は(1)更にカソードの改良を行なって、不純物流入を抑え、より高エルギー、高電流のEBを入射できるようにする。そのカソードをWT-【III】トーラス装置に組込み、(2)無電流電子サイクロトロン共鳴プラズマ及び(3)ジュール加熱プラズマにEBを入射してプラズマ電流駆動の実験を行なう予定である。
|