本年度は次の各課題により幾何演算容易な図形データ構造をベースとする大面積・大容量画像処理の基本方式を開発した。 (1)先ず、研究代表者らが創案・開発してきたBDトリーと呼ぶ多次元データ構造を拡張した新しい図形データ構造を開発して、画像データを表現の生データである画素ではなく、より高次な図形プリミティブ(ベクトル、領域など)で捉えて処理するというアプローチを可能とした。 (2)次に、対象とする大面積画像から、高速簡易な処理により適当な図形プリミティブを抽出し、それを(1)で開発した図形データ構造で管理してそのデータ構造上での「範囲検索」や「形状演算」などの高速図形プリミティブ処理と、プリミティブの隣接・接続関係などにもとづいて形成した知識ベースによる変形プロダクションシステム型知的認識処理とを、有機的に結合した新しい画像処理・認識方式を創案・開発した。 (3)(2)で開発した一般的画像処理方式を、地図、手描き論理図などを対象として具体化した。 (4)上記(1)〜(3)を、61年度計上の磁気ディスク及びインテリジェントLANにより拡張した既存のスーパーミニコンピュータシステム上に実装し、実用的な図面画像(1000×1000画素3000×4000画素)を対象に処理、認識実験を行ない、有効性を検証、評価した。
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