研究概要 |
昭和61年度は大面積・大容量な画像データを効率良く処理するためのデータ管理構造を創案・開発し, これに基づく高速で知的な画像処理・認識手法の基本方式を開発した. 次いで, 昭和62年度は本データ構造をデータ管理の核とした各種設計図面, 地図, カラー画像等の大容量画像を対象とした処理システムの試作実験を行い, 提案方式の有効性を実証した. 初年度に開発したデータ管理構造は, 研究代表者らが, 先に開発したBD木をベースに, 対象を線や面, 立体領域等に拡大・発展させたものであり, 様々の図形を統一的に, かつ動的なデータをもメモリー効率, 検索効率良く管理できるという特徴を持っている. 拡張の基本はBD木の各ノードに外接長方形情報を付加し, これを手がかりとして検索空間の縮小を計り, 各種検索を効率化している. 本データ構造の有効性を検証するため, 次年度は, 図面入力やカラー画像の限定色表示への応用システムを構築した. 図面自動入力システムへの応用としては, 機械設計図面や地図を対象とした図面認識・理解システムの開発を行った. 試作システムでは図面画像データを最初の段階でランレグスデータに, 次に図形輪郭線, 更に芯線データにと, 単純な演算を施しつつデータ量を大幅に縮小し, これと共に抽象度を上げるという枠組みを採用している. 特にこの中で図形輪郭線から芯線データを得る段階で, また図形の認識や理解の段階で, 必要となる図形間の空間的な位置関係に依存した処理に対し, BD木によるデータ管理の利点が著しく, 全体的に処理の柔軟性と高速が実現されている. カラー画像の限定色表示への応用では, 拡張3次元BD木をベースとして, 高精細なカラー画像を対象に, 高速に, かつ用途・目的に合わせ柔軟に限定色画像を作成するアルゴリズムの開発を行った.
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