研究概要 |
1.序 本年度は位置分解能のよい熱中性子用位置検出型比例計数管の開発を行なった. 61年度において開発したβ線用位置検出器に関する技術を熱中性子に適用する. 熱中性子の検出には^3Heや^<10>Bがよく用いられるが,検出器内で核反応の結果発生する荷電粒子の飛程を短くして壁効果を減少させ且つ位置分解能を向上させる目的でXeガスを一定の割合で混合し圧力を高くして用いることが夛い. しかし同じ圧力と混合比であればCF_4ガスやC_2F_6ガスの方が飛程が短く位置分解能がよいと考えられる. これらの新しいガスによってどの程度の位置分解能が得られるかを明確にした. 2.実験方法 陰極は内径33mm,陽極は直径25μm,23kπ/cmの抵抗線,長さ51cmの密封型計数管を作り,内部に先づ最初は^<241>Amのα線点線源を付け,(A)^4He+Xe(60%)+Ch_4(10%),(B)^4He+CF_4(70%),或いは(C)^4He+C_2F_6(70%)のガスを1気圧で封入し,それぞれのガスにおける位置分解能を調べた. ^4Heは^3Heの模擬ガスとして使用した. 次に^4Heを^3Heで置き換えたそれぞれのガスを封入し,外部から1mmの幅にコリメートした熱中性子東を導入し,位置分解能を調べた. 3.結果 α線に対する位置分解能は(A)(B)(C)のそれぞれのガスに対して半値幅は40mm,24mm,15mmとなり(C)のガス組成において良い位置分解能が得られた. この結果は計算値と良く一致した. 次に^4Heを^3Heに置き換えたそれぞれのガスに対する熱中性子の位置分解能は半値幅8.5mm,4.9mm,3.2mmであった. CD22D1F_6を用いると従来にない極めて良好な位置分解能を有する熱中性子用位置検出型比例計数管が得られることが分った. このような位置分解能のよい検出器とカドミウムシールド板との組み合わせによる熱中性子のカドミウム比や入射方向の測定法の開発ならびにBF_3比例計数管を使った実験は現在続行中である.
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