研究課題/領域番号 |
61460246
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 正 筑大, 地球科学系, 講師 (50015880)
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研究分担者 |
安原 正也 通産省工業技術院地質調査所, 環境地質部水質源課, 通産技官
大坪 輝夫 筑波大学, 農林工学系, 助手 (20015671)
黒田 吉雄 筑波大学, 農林学系, 助手 (30015672)
松本 栄次 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (10015571)
海上 道雄 筑波大学, 農林学系, 教授 (70015634)
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キーワード | 森林流域 / 水循環 / 物質循環 / 流出機構 / 環境同位体 / 地下水流動系 / 土層構造 / 物質生産 |
研究概要 |
本研究は、流域を単位とした森林生態系を対象として、系内における水循環を物質移動の担い手として位置づけ、時空間的に多様性に富む流域内での物質の移動と変化の過程を対象流域の流出機構との関連から明らかにすることを研究目的とした。以下に本年度の研究経過を報告する。1.研究対象流域として筑波大学川上演習林内の一小流域(0.143【Km^2】)を選定した。流域の地質は新第三紀飯盛山火山岩類に属する安山岩を基岩とする火山角礫岩から構成される。植生はカラマツを主に、一部にミズナラ、カンバ・アエデ類を含む落葉広葉樹が分布する。2.水・物質の循環場である流域斜面土層の物理特性を明らかにするため、種々の土壌物理特性試験を実施した。その結果、対象流域の斜面形は4つのタイプに分類されること、土層はその断面態から3つのタイプに分類されることが明らかとなり、土層構造の面的分布図が作成された。3.観測井の設置により、斜面土層内の地下水流動を測定したところ、その流動系は土層構造のあり方に強く規制されていることが明らかとなった。また、この地下水流動系の空間的な差異は、地表に見られる種々の水文現象に大きく関与していることが明らかとなった。4.流域からの流出量を継続的に測定するため、流域末端にコンクリート製直角三角堰を設置し、自記水位計によって河川水位を自記記録するとともに、水位一流量曲線の作成を行った。また、太陽電池の導入により、河川水の水温・電気伝導度の連続記録を測定中である。5.流出機構の解明にはトレーサー法を採用し、1986年3月の融雪出水およびその後の降雨流出を対象に試水のサンプリングを行った。これら試水に含まれる環境同位体を現在分析中である。6.流域内における物質生産量を明らかにするため、植生を考慮して3つの試験区を設け、それぞれにリッタートラップ、分解ネットおよび地温計を設置した。調査は1985年11月から開始され、現在も継続中である。
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