研究概要 |
炎や放射線パルスより生じた励起状態が移動し, 電子移動を引き起こし, 反応中間体を経て生成過程に至る過程や, 放電などにより乱された系が平衡に戻っていく過程を〓吸収により時間の関数として直接測定し, 解析する方法を固体系用に開発し, 固体光反応の研究に新しい糸口を開いた. 具体的に以下にまとめる. 1.51秒拡散反射レーザーホトリシスシステムのハードとソフトを本部で初めて開発した. これはWilkinson, Beck, Turro各グループについで世界で4番同に当たり, 現在この研究をしている世界の3グループの一角を占めることができた. 2.拡散反射レーザーホトリシスの時間分離能を10ピコ秒に向上させ, 広い波長領域にわたるスペクトル測定と動的挙動の解析を世界で初めて可能にした. これによりベンゾフェノン, ベンジル, p-ターフェニルの多結晶状態のピコ秒挙動を明らかにした. 3.この測定法は, 従来の系に加えて, 高分子固体粉末, 包接化合物の粉末, ロ紙吸収着体にも適用可能であることを証明すると共に, 多くの固体光化学反応の研究に糸口をつけた. 4.実験的な立場から, 正しい吸収スペクトル形状を求める経験式を提案し, 物理的意味を明らかにするためシュミレーションを行っている. 5.固体光反応は一般に不可逆であるので, 高精度に高い時間分解能で瞬時測定可能な検出器として, ストリークカメラを用いたシステムを開発した.
|