研究概要 |
1.NH(【^1△】)とNOとの気相反応機構(実験) アジ化水素H【N_3】の光分解によって発生したNH【^1△】)は、挿入・引抜き反応のほかに、ラジカル種との会合反応を起こす。NOとの反応においては、付加体HN-NOの生成を経て【N_2】Oにいたることが理論的に予測される。NH(【^1△】)+NO→HN-NO(【^2A^1】)→H+【N_2】O (1)四重極マスフィルターにより、【N_2】Oの量子収率Φ(【N_2】O)の測定を行ったところ、同時に水【H_2】Oの生成が確認された。これはNH(【^1△】)とH【N_3】との反応NH(【^1△】)+H【N_3】→N【H_2】+【N_3】 (2)によって生成したN【H_2】が直ちにNOと反応して、(1)と同様の付加体生成につづいてH原子移動により【H_2】Oと【N_2】にいたるためであると思われる。反応(1)と(2)はともに衝突律速(Ea=Okcal/mol)であるから、量子収率Φ(【N_2】O)とΦ(【H_2】O)はNOとH【N_3】の初濃度比に比例するはずである。このことを実験によって確証した。Φ(【N_2】O)とΦ(【H_2】O)の和は0.7であった。 2.C【H_2】C【H_2】Oの電子構造と単分子反応経路(理論) エチレンに酸素原子が付加して生成するC【H_2】C【H_2】Oのジラジカルは、1重項ではαα形が、3重項ではαπ形が最安定である。これらには、α-H原子脱離反応と1,2-H原子移動反応が可能である。 C【H_2】C【H_2】O→C【H_2】CHO+H (3)C【H_2】C【H_2】O→C【H_3】CHO→C【H_3】-CHO (4)反応経路をabinitio SCF(4-31G*)計算によって追跡し、遷移状態構造を求めた。次いで、大規模配置間相互作用計算によってエネルギー障壁高さ△【E^キ】を計算したところ、【^1α】αでは反応(4)が有利であり(△【E^≠】=6.4kcalmol), 【^3α】πでは反応(3)のほうが有利である(△【E^≠】=20.7kcal/mol)ことが判明した。
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