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1986 年度 実績報告書

二発色団化合物の励起状態の反応性制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 61470020
研究機関筑波大学

研究代表者

桜木 宏親  筑大, 化学系, 助教授 (10011602)

キーワード分子内励起錯体 / 付加環化 / 温度効果 / 溶媒効果
研究概要

励起状態においてのみ相互作用する二つのπ系としてシアノフェナントレンとp-メトキシスチレンをポリメチレンエステル基で連結した二発色団化合物のうち、メチレン鎖2個のエステルでは、フェナントレン部位を光照射すると、分子内励起錯体に由来する発光が観測され、フェナントレン環と二重結合の付加環化に基づくシクロブタン誘導体とカルボニル基と二重結合の付加環化に基づくオキセタン誘導体が生成する。また、同時に、二重結合の異性化も進行する。これらの現象の効率について、温度と溶媒の効果を検討した。シクロブタン誘導体の生成とオキセタン誘導体の生成は温度の上昇と共に増加するのに対し、発光と異性化は減少することを見出した。このことは、励起錯体から付加環化生成物に至る過程に活性化の障壁が有り、一方、励起錯体からの発光と異性化は活性化の過程を伴わないことを示唆する。無極性のシクロヘキサンから極性の高いアセトニトリルに至る各種の溶媒中における励起錯体の挙動を調べた。発光が観測されないアセトニトリルを除いて、発光は溶媒の極性の増大と共に長波長側に移動したが、その量子収率は殆ど変化しなかった。一方,2種類の付加環境化の量子収率は、シクロヘキサン中で高く、溶媒の極性と共に減少した。しかし、減少の度合はシクロブタン誘導体の場合に著しかった。溶媒の極性による反応性の低下は励起錯体の安定化により活性化の障壁が高くなることに依るものと考えられ、温度効果の結果とよく一致する。酸素、オレフィン等の励起錯体の消化剤の効果を考慮するとこの系では、フェナントレン部位の励起状態は発光性の励起錯体、付加環化生成物を与える励起錯体などの複数の励起錯体と平衡にあることが考えられる。二つの発色団を11個のメチレン鎖で連結したエステルにおいても、励起錯体に由来する発光が観測された。

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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