研究概要 |
(目的)分離助剤添加型遠心液々分配クロマトグラフィーと液膜輸送系との相関性につき研究を行い、新しい分離・精製・濃縮の技術としての発展に繋がる原理を解明することを目的としている。 (研究経過と成果) 1.設備として三鬼エンヂニヤリング製CPC-L.L.(Model-NMF)を購入し、この装置の性能を種々の条件下で検討して本研究課題に適した性能をもつことをまず確認した。 2.水素結合および疎水性相互作用の組み合わさった効果を知る目的でn-BuOHを分離助剤としたクロマトグラフィーにおけるニトロフェノール類の分離挙動と、これと全く同じ構成の液膜を用いたときの液膜輸送における挙動とは極めて良く対応していることがわかった。 3.一方、強い酸,塩基相互作用の効果を知る目的でブルシンを分離助剤としたときの芳香族有機酸のクロマト挙動は、強いピークブロードニングを引き起こすことがわかった。このことは、比較的弱い相互作用を中心にして研究を進めてゆくことが効率の良い方向であることを示している。 4.また、これらの結果を説明し、かつ、このクロマトと液膜輸送との相関移動における共通性と相違点とを明確にする合理的な基本モデルを導き出した。 5.新しい選択性分離助剤の分子設計として、修飾calixareneの合成法を検討し、安価な原料から簡単な手法でoctaxis-ethylcarbamoyl-,並びに、octaxis-ethylthiocarbamoyl-(calix-〔8〕-arene)の合成に成功し、現在遠心液々分配クロマトグラフィーと液膜輸送系との実験に使用するための条件を検討している。 6.Di-(2-ethyl-hexyl)-リン酸/n-ヘプタン系固定液相を用いて、希土類金属イオンの抽出分離効果を検討した結果、この固定液相が遠心液々分配クロマトグラフィーによってLaとSmイオンとを分離できる可能性を見出し、現在この系を用いて遠心液々分配クロマトグラフィー上で両者を分取規模で分離するための諸条件を検討している。
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