研究概要 |
(目的)分離助剤添加型遠心液々分配クチマトグラフィー(CPC)と液膜輸送系との相関性につき研究を行い, 新しい分離・精製・濃縮の技術としての発展に繋がる原理を解明することを目的としている. (研究経過)設備は昨年度に購入した三鬼エンヂニヤリング製CPCーL.L.(ModelーNMF)を用いている. 62年度当初研究計画での種々の基礎条件の検討が早く進行できたので, 予定を早めて62年度は希土類金属イオンの分離精製に重点を置いた研究を行い, 以下の研究成果を上げることができた. (研究成果)1.Diー(2ーethylーhexyl)ーリン酸(2DEHPA)/nーヘプチン系固定液相を用い, 移動相に塩酸水溶液を用いて, La, Ce, Pr, Nd, Sm, Euの軽希土類金属イオンのCPCにおける挙動を検討した. 2.この系は, 2DEHPAのPーO^-H^++ュSY.dblharw.+ャPーO^-M^+酸塩基交換反応を基礎としていることから, 希土類金属イオンのCPCにおける保持値が移動相中の塩酸濃度に強く影響されることを見出した. 3.この知見をもとにして, 従来困難とされていた周期率表中で隣接するイオンの組(La/Ce, Ce/Pr, Pr/Nd, Nd/Sm, Sm/Eu)を効果的に分離することに成功した. このうち, Pr/Ndの組の分離は完全ではないが純品回収率を約50%に抑え, 不完全分離部分のリサイクルによって純品を効率よく得られることが分った. 他の組は何れも一度だれのCPC操作で50:50混合物から容易に各純粋イオンを得ることができた. 4.希土類金属イオンの原子番号が大きくなるにつれて, ピークの拡がり著しくなることが分ったが, 例えばSm/Euの系では, 固定相の有機溶剤としてトルエンを用いることにより, ピークの拡がりを解決できた. 5.CPCと同一の二相構成の液膜輸送の研究を行い, 希土類金属イオン選択的液膜輸送ができることが分った. 即ち, CPCと液膜輸送系とは我々の系でよく対応している. また, 両系ともに液々抽出系とよく対応している.
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