研究課題/領域番号 |
61470036
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松尾 禎士 東京工大, 理学部, 教授 (30015490)
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研究分担者 |
島 正子 国立科学博物館, 主任研究官 (70113420)
大隅 多加志 東京工業大学, 理学部化学教室, 助手 (60114857)
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キーワード | 岩塩 / 流対包有物 / ボールミル / D / H / 【^(18)O】 / 【^(16)O】 |
研究概要 |
新たに作製したガラス製真空ボールミルは、アルミナ製ボールの水平運動によって試料を粉砕する方式をとる。試料としては6〜10メッシュの岩塩を4〜6g用いる。約1時間の機械的振動によって、100メッシュ以下の細粉の収量が50%以上に及んだ。このボールミルは岩塩粉砕過程で放出された【H_2】0およびC【O_2】を液体窒素で固定することが可能であるため、粉砕された粒子への【H_2】OとC【O_2】の吸着が極めて少量に抑えられる利点があり、【H_2】OのD/Hおよび【^(18)O】/【^(16)O】比、およびC【O_2】の【^(13)C】/【^(12)C】および【^(18)O】/【^(16)O】比の測定の信頼性が高まった。一方、旧来のタテ型ボールミルを用いてイスラエルの死海に近いMt.Sedomの岩塩試料および米国カリフォルニア州のSerles Lakeの岩塩試料より、【H_2】OおよびC【O_2】を抽出した。前者に関しては【H_2】OのD/Hおよび【^(18)O】/【^(16)O】比から岩塩が再結晶する可能性が明白に指摘できた。後者に関しては、深度別岩塩試料中の【H_2】OのD/Hおよび【^(18)O】/【^(16)O】比から、カリフォルニア州における過去300万年の気侯変動を追究する手掛りをつかむことができた。 一般に海成の岩塩の場合は、流体包有物として含まれる液体の【H_2】OはMgあるいはCaの含有量が高く、真空中で岩塩を粉砕して、蒸留によって【H_2】Oを回収するさいに、Mg(Ca)の含水塩が残留する。この含水塩を加熱分解して【H_2】Oを完全に回収しようとすると、Mg【(OH)_2】、あるいはMgOが形成して、回収が完全でなく、従ってD/Hおよび【^(18)O】/【^(16)O】比にも系統的誤差を与えることが判明した。この誤差を最少にする方策もほゞ確立されるに至った。
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