研究概要 |
1.スピン平衡鉄(III)錯体の合成と磁気的性質、5種の二核鉄(III)錯体を合成し磁化率および電子スペクトルの温度依存性を測定してスピン平衡挙動を検討した結果、ビスイミダゾールおよびビスピリジンで架橋した二核鉄(III)錯体が固体および溶体状態で顕著なサーモクロミズムを伴った高スピン(S=5/2)および低スピン(S=1/2)状態間でのスピン平衡を示すことが判明した。さらに新規に合成した鉄(III)錯体、[FeL^2(Salaceu)]PF_6(L=imidazol,N-メチルイミダゾール)もS=5/2とS=1/2の高スピン-低スピン状態間にスピン平衡が成立していることが磁化率およびメスバウアースベクトルの温度変化から明らかになり、スピン変換速度を算定するための推計モデルを提案すると共にスピン変換速度を算定した。さらに単結晶X線構造解析を行なって決定したFe-N(イミダゾル)距離による低スピン、高スピン状態の形成についての考案を行なった。 2.イミダゾレート架橋錯体の合成と磁気的性質。イミダゾレール基を含む非対角四座配位子を合成し、この配位子を銅(II)化合物と反応させて、銅錯体を合成した。この化合物はキー化合物として種々の多核異核錯体の合成を可能にした。この化合物と他の平面構造の銅、マンガン錯体の反応により新規な錯体を多数合成し、それらの磁気的性質を研究した。今後更に多種金属錯体の合成が可能になると考えられる。本研究の研究費で購入したカーン社製磁気天秤は多くの磁化率測定で使用され、多くの実験データーと論文作成に非常に役だった。
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