研究概要 |
1.高知県浦ノ内湾に流出する小河川の灰方川川底に露出している粗粒砂岩 真岩から溶出するイオン種について検討し, 乾燥した時期を降雨によッて増水した時期との比較も行なった. その結果, Na^+,K^+,Mg^<2+>,Ca^<2+>などの陽イオン濃度は, 下流域では海水の濃度に匹敵しており, それぞれの流域におけるイオン種の濃度はほぼ一定で, 海水以外の河川への影響はほとんど観測されなかった. 雨後の濃度は, 汽水域で増加するもの(Na^+)と減少するもの(Mg^<2+>,Ca^<2+>)がある. それぞれの濃度比のうち, Na/K比は変化が大きいが, Mg/Ca比は上流から下流まで安定して増加し, 平均的な海水の比にほぼ等しくなった. 2.シリカゲルから, αークリストバライトへの結晶化に及ぼす金属化合物の影響について, 本年はCa化合物を添加し, 温度, 反応時間, 添加量を変え, その結晶化を検討した. その結果, Co(OH)_2〉CoO〉Co〉CoCl_2・6H_2Oの順にクリストパライトの結晶化を抑制することがわかった. これはFe化合物の添加効果とよく似かよっていた. 3.出発物質として主にアラゴナイトからなる貝殻を用いて, 温度250〜350℃各種モル比のCaCl_2とMgCl_2混合水溶液中で水熱処理を行ない, ドロマイトの合成を試みた. その結果, ドロマイトが生成する最低の温度は250℃で反応時間は70時間を要した. そのことからドロマイト生成に対する・見かけの活性化エネルギーが約24Kcal/molとなることがわかった. 水溶液中のMg/Ca比が0.2〜0.7の領域でのみドロマイトは生成し, 比がそれ以上だと最終的にはマグネサイトのみが生成した. アラゴナイトを出発物質として用いた場合, ドロマイトが生成するまでに必ず中間体としてLMC(Low Magnesian Calute)やHMC(High Magnesian Calute)が生成した, ドロマイト生成における続成作用を考える上で興味深い.
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