本研究はX線粉末回折法を用いた鉱物及びセラミック材料の定量、格子定数、及び結晶子の径や歪みの測定における高い客観性と精度、及び解析の効率を得るためのX線粉末回折データ自動解析システムを2年間にわたって開発することを目的としている。61年度においては、システム構築の本体となる32ビット・パーソナルコンピューターを購入し、システムの基本設計、及び解析のアルゴリズムを実行する上で中心になるソフトウェアー(プログラム名:PRO-FIT及びWPPF)の開発を行った。このシステムをZr【O_2】等のセラミック材料の解析に応用し、従来、粉末回折図形が複雑なために測定できなかった単斜晶一正方晶Zr【O_2】の混合微粉末における各相の格子定数測定を可能にした。又、内部標準を用いたピーク位置のズレ補正を自動的に行う方法を開発した。これらの新しいアルゴリズムに基づいた解析用ソフトウェアー(WPPF)の試験運用の結果、従来のプロフィルフィッティング法よりもはるかにパターンの分解能力が高く、パターン全体を同時に処理するために能率がよく、尚かつ自動化に適していることが明らかとなった。これらの成果については、国内及び国外(米国)の学会で発表し、さらに欧文の論文3編に投稿した。
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