研究概要 |
NaAlSi_3O_8ーCaAl_2Si_2O_8系内の5組成につき,特級試薬のSiO_2,Al_2O_3,Na_2CO_3,およびCaCO_3を用いて珪酸塩メルトを作り,核形成と結晶成長の実験を行なった. なお,核形成実験はPtーwire Loop法によった. 上記5組成の出発物質のうち,An100の組成からの結晶化においては,安定相のP^ー_1アノーサイトの他に,P2_1アノーサイトおよびC2アノーサイトが出現することが知られている. しかし, それらの相互関係については不明であるので,これら3者の関係に重点をおいて行なったAn100組成の核形成実験の結果について以下にまとめた. 1.P2_1アノーサイトとC2アノーサイトは,ΔT=270℃〜620℃でほぼ同時に不均一核形成する. これらはともに,TTT図のΔT=420℃,3分にノーズをもつC型曲線でその結晶化が表現される. 2.C2アノーサイトはΔT=490℃〜610℃において均一核形成を行なう. TTT図におけるノーズはΔT=520℃,20分の所に存在する. 3.P2_1アノーサイトの均一核形成は,今回の実験では生じなかった. 4.安定相のP^ー_1アノーサイトはΔT=450℃,160分で結晶化し始める. 5.結晶成長速度は同一過冷却度下においては,P^ー_1>P2_1>C2の順序でしかもそれぞれ約1桁づつ大きい. 6.P^ー_1アノーサイトの結晶成長速度が他に比べて大きいために,P^ー_1アノーサイトが出現すると,量的にP2.ニ_<1.ナ>アノーサイトとC2アノーサイトは消滅する.
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